【会社設立関連コラム】チラシトレンドPart2!安さを脱却できる方法はあるのか?
日経ビジネスオンラインより抜粋しています。
2008年のリーマンショック以降、チラシは「安さ」一色でした。とにかく「安い」「安い」「安い」で異常とも言える状態だったのです。一時は食品メーカーが(特売の原資となる)販促費を絞ったこともあって、NB(ナショナルブランド)商品のチラシ掲載が激減してしまいました。その間、スーパーは野菜や肉など生鮮品の特売でしのぐ状況でした。
震災以降、こうした状況が少しずつ変わってきたと感じています。NBの掲載が増えているだけでなく、チラシの上で「○○フェア」といった企画も増えています。しかも、季節の行事に合わせたフェアばかりではなく、やや無理のある企画もあるのです。こうした企画は、ただ安いものを集めるだけでは実現できません。小売りやメーカーに多少の余裕ができたということでしょう。
ただ裏を返せば、値引きばかりでは続かないということでもあります。ある家電量販店のチラシでは、なんと「イケメン店員」を売り物にしていました。何とか競合店との違いを出そうと必死なのでしょう。
いずれにしても、今のスーパーは「小売り」というものを「安く売ること」と勘違いしているような気がします。本来、小売りの役割は、その名前の通り、大きいままでは価格が高い商品を小分けにして消費者の手の届くものにすることだと思います。ただ単に安く売ることではないのです。ところがビジネスがどんどんドライになると同時に、短期化していったことで、とにかく「安く売る」という世界になってしまったのです。メーカーと小売りの人間が商談をしていても、数字のことしか話さない。半年先に消費者の心をつかむという話は許されず、目先の利益を上げることが優先されてしまうのです。こうした状況では、値段の話ばかりになってしまいがちです。
最近ではドラッグストアやディスカウントストアも食品の扱いを増やしています。スーパーのバイヤーなどが、ドラッグストアやディスカウントストアなどに移り、スーパー時代の手法を導入しているといったことも多くあります。こうした店ではスーパーの安売りの手法を導入してしばらくは非常に効果が出ます。しかし、その後に待っているのは価格競争です。こうして、競合する店が業態を超えて増えているのが現在の状況ではないでしょうか。
アベノミクスは消費者にはあまり関係ないかもしれません。各世帯の消費を100万円ずつ上げろ、という話ではありませんから。スーパーで言えば、もう100円高い商品を買ってもらう、週に1000円だけ多く買い物してもらうという話です。これは工夫次第では今でもできる話です。もちろん、今までだってできたはずです。それなのに、スーパーはこの数十年間、新しい売り方をしてきませんでした。それが、アベノミクスで環境が変わったからといって、急に売り方を変えるといったことができるでしょうか。
例えば、小売り側が商品を企画するPB(プライベートブランド)にしても、メーカーが作れないようなニッチな商品だけれども、確実にニーズはあるといったものを出すこともできるわけです。しかし、多くの流通業は、PBの存在を利用してメーカーが作るNBを安く仕入れようとします。
消費者の「とにかく安ければいい」という意識は少し変わってきていると感じます。スーパーは自分で商品を棚から取って自分で持ち帰る「セルフサービス」の店舗として広がったわけですが、最近は昔ながらの「御用聞き」のようなサービスも増えています。小売りは生活に密着しているので、いつも変わらずに売っているということも大事なことではあるのですが、一方で消費者の意識の変化に気づき、地道な努力を続けることでさらに進化を遂げることができると思います。
前回の「チラシトレンドが変わる?顔写真入りチラシが増えているワケ。 」に引き続き、チラシトレンドPart2です。
最近になってこういう「安さを売りにした時代はもうおしまい」という記事が徐々に出てくるようになったと思います。
スーパーにしてもそう、家電量販店にしてもそう、あのマクドナルドにしてもそう、価格を安くするだけの戦略は、一時的な売上の増加をもたらすものの、長期的には自らの首を締めることにしかならない、と言いたいらしいですね。
私はこのブログでも何度も言ってますが、値下げスパイラルが良くないことはわかっちゃいるけどやめられない。言うは易し、なんですよね。
値下げ以上の特効薬がなかなか見つからないから苦労しているわけです。
確かに最近のスーパーチラシトレンドをみてみると、安さだけでなくイベントを催したり社員さんの顔を出したり工夫しているお店も多くなってきたとは思いますが、実際のところ、価格が安いチラシに比べてどれだけの効果をあげているのでしょうか。
結局のところ、価格には勝てない、このトレンドはまだしばらく続くでしょう。
しかし、価格が安いことだけに飽きてきている消費者もいる、ということなのだと思います。
価格で勝てる店は価格を打ち出していけばいいのです。
しかし、そうではないお店は価格ではないもの、例えば「親近感」であったり「信頼感」であったり「安心感」であったりと、違った見せ方をしていくしかないのです。
どうすれば価格から脱却できるか、それは試行錯誤の上での結果にしかないのだと思います。
中小企業の皆様も、試行錯誤してこの時代を乗り切りましょう。